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うたかたの仮の住処のこの世かな
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このごろ朝によく見かける。

母親と手をつなぎ、楽しそうに歩いてくる。
黄色いバッグを肩に掛け黄色い帽子の女の子。
バッグには保育園の名前がみえる。
駅前の保育園にあなたを預けて母は仕事にゆくのだろう。
 
つないでいた手を離して、信号待ちでもないのにしばし立ち止まり、あなたは元気に飛び跳ねる。
母は包み込むようなやさしいまなざしでただじっと見つめている、あなたがまた母の手を取り歩き出すまで。

低い目線からは何が見えるの。
真新しいアスファルトの歩道、道端の草や花、仰ぎみる青空に母の優しい微笑みか。

何気ないひとときが、あなたの心に刻み込まれてずっと記憶の中に留まっていく。
 
これは心の原風景。かけがえのない宝物。
 
あなたはいつか思い出すだろう。
さびしいときかなしいとき、うれしいときにも。
そっと引き出しを開け思いがけなく見つけたようにこの何気ない風景を。
愛情いっぱいに包まれていたあの頃を。

あなたの心を慰めてほっと気持ちを満たしてくれる、あなただけの原風景。


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往時より癒しを誘う白銀(ぎん)の波

ここは荻の群生地。
この時季は白い荻の穂が川原に群れ集う。
   傾きかけた日に照らされて穂の群れは白く浮かび上がる。
一陣の風が穂先をなできらきらと輝き、そっとやさしく誘い込む。
   いにしえより幾多の人よ眺め眺めて己がこころを癒したであろうか。
我もまたそっとたたづみ、深い安堵の褥にみをゆだねたり。




植えつけて しおれし体(てい)の かきな葉に 日を経て今日は 生気みなぎる

通りすがりの道端の畑に植えつけられたばかりのかきなは、日光にさらされてしおれている。
何日か過ぎ気がつけば、かきなの葉っぱはピンと背筋を伸ばし、生き生きと輝いてみえる。




汗ばむも 肌に冷たし 秋の風

秋もたけなわ 日差しが降りそそぎ少し歩くだけで汗ばむ けれど、肌をうつ風は冷たく 間近に冬の訪れを感じる
 
ふと気がつけば漂いし、ほのかな香り懐かしき
遠きえにしのあこがれを、このひとときによみがえる
甘酸っぱくもせつなきは、金木犀の花の香や





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